一枚板・1P・ワンピースボディの魅力とメリット・デメリットを解説

こんにちは。ギター工房ToneWoodLab(トーンウッドラボ)のアオキです。
今回は、一枚板、1p、1ピースボディ、ワンピースボディなど、ボディ材が一枚の板からできているエレキギターの魅力と利点、デメリットについて解説します。

なお、本記事では、前述のボディ材が一枚の板でできているギターのことを、1ピースボディとして表記します。

 

一枚板・1ピースボディの魅力とメリット

木目が特徴的で、魅力が詰まった1ピースボディのエレキギター。厳密には1ピースボディとは言わない場合もありますが、GibsonのLespaul(レスポール)モデルでは、ボディバックが1ピースのマホガニー材であることに価値を感じるユーザーも存在します。

まずは、そんな1ピースボディのエレキギターの魅力とメリットを解説します。

高級感がある

1ピースボディのエレキギターを作るためには、当たり前ですがギターのボディサイズより大きな木材が必要となります。

材木店などから木材を仕入れる場合は、木材の値段は基本的に立米単価(リューベ単価・㎥単価)から算出されます。立米単価は仕入れコストや製材コスト、運送費などの諸費用に、さらにその木材の価値が加算されて決定されていることがほとんどです。基本的に材木は幅が広かったり、木目が素直だったり、カーリーやフレイム、バールなどの杢が出ていたりすると、価値が高いとされて取引が行われます。

2ピースボディや3ピースボディ、それ以上の矧ぎ合わせ(はぎあわせ)のボディでは、必要となる木材の幅は小さくなりますから、安い木材を使用することができます。そのため、安価なギターは多ピースのボディが採用されるわけです。

つまり、1ピースボディのギターに使われる木材は、2ピース以上のボディに使われる木材よりも、どうしても高価にになります。価格が高い材料は安いギターには使われない(使うことができない)ため、必然的に高級なギターに使われ、市場的には高級感があるというブランドイメージを確立しました。

また、木材は見た目も質も均質ではありません。ギターとして音と外観を担保するには、幅が限界の一枚板で制作することは最適解とは言えません。美観に優れた1ピースボディのギターを制作するには、余裕を持って木材を用意する必要があります。それが価格に反映され、また高価であるからこそ、高級感のあるデザインに仕上げられたギターが多いと言えるでしょう。

塗装の経年劣化には強い面がある

経験上、複数ピースのボディでは、製造から15年以上経過するとボディの塗装に段が見えてくることがほとんどです。

エレキギターの塗装は経年で痩せてくることがほとんどですし、木材は部位によって縮み方や狂い方が異なります。どんなに乾燥された木材でも、微細な動きは出てくるため、経年で塗装のやせと相互に作用し、ボディの段付きが目立つようになります。

面や角がしっかり出ている・なめらかであるということは、工業製品・工芸品の美観的要素として外せないものの一つとして挙げられるでしょう。

1ピースボディでは、少なくとも矧ぎ合わせを行っていることに起因するボディ塗面の段つきは発生しないため、塗装の経年劣化には強い面があると言えます。

 

木目が雄大で美観に優れる

1ピースボディのギターは、何と言っても木目が雄大で、大変美観に優れています。幅が広い木材を加工してギターのボディにしているため、木目が複雑になる部分までつかえたり、幅広材のいい所だけをつかえたりします。

また、矧ぎ合わせがない一枚板は、木目の流れが途切れないため、自然の雄大さや木材の美しさを視覚で感じ取ることができることでしょう。

美観に優れたギターを使うとインスピレーションが刺激されるという人もいるため、五感による副次的な効果が期待できるかもしれませんね。

1Pボディのデメリット

魅力あふれる1Pボディですが、大きく3つのデメリットも存在します。

・価格が高くなる
・経年で反りが発生す可能性がある
・音が良くなるとは限らない

価格が高くなる

前項でも記載した通り、一枚板は価格が高くなります。
幅のある一枚板を取るということは、それだけ太い丸太から切り出すことになりますが、太い丸太は樹齢が高く、基本的に高価です。
また、乾燥・シーズニングにかかるスペースも大きくなるため、それらが価格に反映されてきます。

経年で反りが発生する可能性がある

木材の反りは、基本的には幅が広く、薄くなるほどに大きくなります。
2Pや3Pのボディに比べて幅が広くなるため、それだけ反りが強くなります。
また、弦に対して平行な方向での反りが発生する場合もあります。

乾燥やシーズニングが行われた木材ならば反りの発生は抑えられますが、基本的に木材は湿度や温度の影響により動き続けるため、どんなに気を付けていても反りや割れ、狂いが発生してくる可能性があります。

音が良くなるとは限らない

筆者は、一枚板は音の立ち上がりや生鳴り感が良いと考えています。
しかし、「良い音」というのは主観によるものです。そのため、一枚板で作るギターは音が良い!と断言することは難しいのです。

2P以上のボディでは、何枚かの木材をはぎ合わせて作られています。また、木材は自然物であるため、どうしても同じ板のなかでも材質に差があります。そのため、2P以上のボディではある程度木質が良い部分だけを組み合わせることが可能で、一枚板のボディに比較するとボディが均質であると言えます。

一枚板では、相対的に材の中の差が大きくなるため、均質なボディの音が良いとする場合には、必ずしも音が良くなるとも言えないのです。

まとめ

一枚板や1Pボディにはデメリットもありますが、それを打ち消すだけの魅力が詰まっていると考えています。
一枚板のエレキギターは美観に優れており、木目を眺めるだけでも自然の雄大さや力強さを感じることができるでしょう。

筆者は、ギターは見た目が好みであることが重要ポイントのひとつだと考えています。

エレキギターはカスタマイズで音を変えることができたり、リペアの幅が広かったりするため、一枚板・1Pのデメリットが発現しても、ある程度は技術的に対応可能であることが多いでしょう。一枚板のギターが気に入ったら迷わず購入して、その唯一無二なルックスを堪能してみても良いかもしれませんね。

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